年齢とともに
都市は
自分のためだけの博物館になる
あるいは
ちょっと古くなったデータの
保管庫に
どこの交差点でも
通りすがりに
かつて偶然再会した人々の姿が浮かぶ
駅での
数えきれない
別れ
いくらか建築は変わっても
そこかしこ
笑いながら壁沿いに近づいてくる
顔顔顔
たびたび入ったレストラン
入ろう入ろうと言いながらも
入らなかった店
雨に降られた歩道
ふいの大雪の
ひとひら
ひとひらを
誰かと見上げた
駅前広場の街灯の下
自分だけが
保ち続けることになってしまった
なんと
たくさんの記憶
いや
本当は記憶でなどなく
みんな
まだ
そこにいるのかもしれない
そう思って
振りむいてみることも
増えた
わたしひとりとなった
都市で
0 件のコメント:
コメントを投稿