峰曽田村では
人を焼く
煙が
紅葉のだいぶ綺麗になってきた
低山から渓谷あたりを
這うように流れ
懐かしい
ものを
いっぱいに包み込んだ
滋味豊かな
寂しさに
あたりも心も
とっぷりと浸されて
いつも
そうなるように
わたしは誰だかわからなくなって
とうの昔に
誰でもなくなった
あの人たちの思い出の
蘇るまゝに
足元に
纏わりついてくる枯葉の
ほんの
細い陽光の
最後の束に照らされたところだけが
金というより
シャンパンゴールドに
きらめいて
サッとひかりの失せた後の
ひかりを思い出させ続ける瞬間が
すべらかな肌の
この世のものでない
ありえない
少年となって
すぅっと立ち上がり
はじめて
わたし他そう少数でもない者たちにとっての
世界
が始まるかもしれない
気配を
暮れがたの
段階の刻々速まっていく寒さと重ねあわせながら
( ある時点から剥がれ落ちさせて自ずと離陸させていくかのように)
此岸に
忍び込ませてきている
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