2018年11月3日土曜日

習慣の廃棄


 
すこし肌寒い空気に触れるようにもなってきたが
まだ上掛けに毛布をくわえるほどでもない
が寒くなっていくのに備えて毛布を干し始めている
急に冷え出すような夜に掛け布団の上に掛けられるように

育った家では冬の毛布は掛け布団の下に使っていた
こうすると身体に毛布がじかに当たることになり
寒い夜に寝につく時には掛け布団の裏側の冷たさに触れないで済む
青年になるまでこれがあたり前だと思ってきた

しかしエレーヌと暮らすようになってこれは覆される
毛布はあくまで掛け布団の上に掛けられるべきもの
寝ていて汗をかいても掛け布団カバーを洗えば済むが
毛布を身体にじかにあてて使っていては毛布が汗に汚れる

毛布は綿の掛け布団カバーに比べれば洗いづらいし
カバーで覆った掛け布団よりもちろんダニも多く潜んでいる
寝ている時の身体に接するものとしてどちらがよいかは
習慣からちょっと離れて考えてみればあたり前のこと

布団カバーをさらにシーツで仮覆いして使うのが
フランス人らしくエレーヌの流儀だった
フランス人は敷布団側のシーツと掛け布団側のシーツの間に寝る
しかも部屋が暖かくなっている場合には全裸で寝るのを好む

寝具はどのように寝ようともとにかく汚れ続けるものなので
すぐに取り換えられて洗い直せるかたちで使わないといけない
どこから来たのか毛布を掛け布団の下に入れて使う母由来の習慣は
幼時から慣らされてきた家族の他の習慣とともに完全に廃棄された



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