それほど昔のことではない,その名は思い出せないが,ラ・
セルバンテス『ドン・キホーテ 前篇』(牛島信明訳)
わたしが教えている大学の中には
名ばかりの大学があって
それがどこのなんという大学か
『ドン・キホーテ』の冒頭にあるように
その名は思い出せない
と言っておいたほうがいいだろうが
なにせローマ字のQさえ知らない者が
平気で入学許可される大学
語学を教えていて
すでに教えてある文を
学生に読ませたら
まったく読めず(この程度は日常茶飯時の出来事)
どうしたんだい? 場所がわからないかい?
とテイネイにヤサシクたずねたら
(
「最初の時が読めません」という
「どの字が?」と聞いたら
「Pの反対になっている字」
それはなんと! Qで始まっている文で
つづり字が読めないというのならまだしも
文字がわからないというのだから
ぶったまげたね、こりゃ!
「これ、キューじゃない? 英語で使っているよね?」
「習ったことないです」
「6年間英語やらされたよね」
「でも習ったことないです」
さすがにQを知らない学生は
そうたくさんはいないが
誰も彼もだいたいこんなレベルのクラスを
正式な入試なしで高校からの推薦とかなんとかで
雑魚の地引き網みたいに海底から漁って集めてくるような
どこのなんという大学か
その名は思い出せない
と言っておいたほうがいい大学で
ふたつも担当してきたんだから
わたしはこの何十年間を
ニッポン虜囚時代と
呼んでいる次第
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