昨日から射してきている
うすみどりの光のはかなさが
これからしばらく
まだ降誕しきらない心の
ひかえめな支えとなってくれるだろう
ぼくは廊下のいちばん奥の
いちばん小さな書庫まで行って
名前を忘れてしまったが
ふるびた草色の装幀の本を
引っぱり出してくる
そうして
書庫から出て
30㎝ほどの丈の石像の置いてある
壁龕のわきに立ち止まって
引き出した本を捲るでもなく
石像を見つめるでもなしに
まだ降誕しきらない心の奥の
遠い風景を
見つめ始めようと思う
廊下の暗さの中で
チョコレートに似た香りが漂っているのは
なぜか?
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