テレビを見ることはほとんどないし
ちゃんと見ることとなると
いよいよ皆無だが
昼過ぎにまれに見ると
昼のワイドショー的なものをやっていて
そこではお笑い芸人だった恵俊彰が
今ではいっぱしの司会者になっていたりする
お笑いコンビ・ホンジャマカのメンバーで
相方は石塚英彦だったから
ホンジャマカは両名ともけっこう出世したわけか
とヘンなところで感心したりする
恵俊彰という人は
2023年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で修士号を取っ
研究テーマは「情報番組がスポーツを伝える役割」だったそうで
なんだかなあ……ではある
放送の前にほぼ全新聞に目を通し続けているとかいうところは
たいした努力家ではあると思う
恵俊彰は鹿児島生まれだが
父が恵大島紬織物を経営していて
白く染める泥染めの「白恵泥」の特許を持つ
大島紬の職人だったこ
『ひるおび』の忠実な視聴者たちでもあまり知らないことだろう
テレビ朝日のほうの『ワイド!スクランブル』では
突出した魅力があるわけでもないが
ヘンなブレ方をするわけでもない
大下容子というアナウンサーが出ていて
なんでこの人が昼のワイドショーを担っているのか
いまだによくわからないのだけれど
慶応の法学部卒で会社法などを専攻していたようだから
それらしく振舞ったり機転が利いたりするからかと
納得しようとしてみたりする
大阪色で売っている『情報ライブ ミヤネ屋』は
宮根誠司の個性だけで回しているようだけれど
気象キャスターの蓬莱大介さんが
なかなか知的で気の利いたまとめ方やしゃべりかたをしていて
大阪にもまともなやつがおるんか?
と思わされるところが面白いのだが
蓬莱さんは生まれは明石でも
早稲田の政経卒だから
やっぱり東京の空気で一度は磨かれたからだな
と東京人としてはヘンな納得をしてみる
『ゴゴスマ』というのは
午後のスマップ…とでも言いたいのかと思っていたが
GO GO! Smile!というのを略してゴゴスマとしたのだそうで
なんというか名古屋らしいダサい命名だが
名古屋だからなあ……と東京人は思うことで決着をつける
司会者の石井亮次という人は
昼過ぎのワイドショーの中ではいちばん垢抜けない感じなのだが
そこが名古屋なのかもしれない
しゃべりも立ち居振る舞いもきしめんっぽいし
味噌カツっぽいといえば
なんとなくわかってくれるかな?
それにしても
今どきだらだらとテレビを付けっぱなしにしている層
というか
階層というか
階級というか
人種というか
そういう人たちには
これら昼過ぎワイドショー番組の司会者たちや出演者たちは
まさに現代そのものを表わす
今をときめく永遠の著名人たちと見えてしまうのかもしれない
だが
その昔
むかしむかしのまた昔
テレビが本当にテレビしていた頃の
『木島則夫モーニングショー』
『奈良和モーニングショー』
『小川宏ショー』
『溝口泰男モーニングショー』
などばかりか
『奥さまスタジオ 3時のあなた』の
高峰三枝子の司会ぶりなどまで
毎日のようにしっかり見尽くしてきた身としては
モーニングショーやワイドショーの司会者たちや出演者たちは
番組が終わると
あたかも存在などしていなかったかのように
ものの見事に雲散霧消してしまうのを体験してきている
小川宏がどれほどの説得力を持っていたか
毎日のように八代栄太や中山千夏が『お昼のワイドショー』
東京都知事になった青島幸男が
1968年から11年間も『お昼のワイドショー』
「パンパカパーン、パンパンパ、パンパカパン、
のちの大阪府知事の横山ノックも『お昼のワイドショー』
そうして
七三分けどころか八二分けという感じの
頭にトンカツを乗っけたような髪型でジャーナリスト気迫のあった
溝口泰男が頑張っていた6年間があったことも
現代のワイドショー視聴者たちはまったく知らないし
かつて見た人もほとんど覚えていないだろう
現代の
今まさに活躍中の宮根誠司も
恵俊彰も
石井亮次も
大下容子も
いつか番組司会から退く時には
かつてのワイドショーの英雄たちのように
あたかも存在などしていなかったかのように
ものの見事に雲散霧消してしまうにちがいない
ジャーナリスト魂にいちばん溢れていた溝口泰男は
モーニングショーでは毎日のように熱気に溢れてキリッとしていた
番組を江森陽弘に譲ってからは
急に消え去ってしまったように見えた
それでも
他の番組に出たり
自分の考え方を貫くべくテレビ朝日から独立して
地方局でみずから企画構成して司会もやったりしたようだが
独立後すぐに直腸ガンを発病し
49歳で死去した
De Profundis
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