寒気の訪れとともに吹きすさむ強い強い風…
けれどそれがこんなに楽しいのはどうしてだろう…
静かで穏やかな夜がすばらしいなどというのも言い癖になっている のに…
ほんとうは嵐の時こそ躰じゅうに元気が漲って…
心も目もらんらんとしてくるのはどうしてだろう…
今度こそなにかに会えるかもしれないという予感…
日々何度くり返してもけっして出会えることのないなにかに…
まだ見たこともないからなんだかわからないというのに…
それでもはじめからわかっているものに出会えるかもという予感…
吹きすさむ寒気の訪れの風がまるで新しい躰となりゆくように…
静かさと穏やかさと普通さでは足りなさ過ぎるものを満たしに…
強い強い風の向こうや底に大きく嵐が近づいてくる…
ほんとうの自分はつねに外からやってくるというように…
これまで自分だったものを吹き飛ばしながら…
会ったこともないものこそほんとうの自分だと…
強くはっきりと鋭く…
鮮やかな冷気の…
突風の身体…
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