むこうの部屋で音楽が鳴っている
あかりも点いている
だれもいない
廊下にも薄あかりが点いているだけ
寒さのつのる初冬の夜
たくさんの本のならぶ書庫の中で
どれを手にとろうとしていたのかと
ふと迷っている
かけてきた音楽が
むこうの部屋で鳴り続けている
あかりも点いている
…ぜんぶ
嘘だけれどね
でも
これが言葉というもの
むこうの部屋が垣間見え
あかりが見え
音楽が鳴っているのも
聞こえるようだったのでは?
廊下の薄あかりも見え
たくさん本のならぶ書庫も
まわりに見えるようだったのでは?
これが言葉というもの
これが言葉への反応というもの
(これを
(脱ぎ捨て切るまでは
(なにひとつ
(あなたに
(真実なものが起こることは
(ない
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