永遠に死んでしまったのだろうか?
マルセル・プルースト
もう死んで四年になるのに
友の転居届を郵便局に出し直す
その友宛の郵便が
すでに別の人のもののはずの
住所にまだ届くらしいので
転居届を出し直す
わたしのいまの家に
移り住んだかのように書いて
転居届を出し直す
本当は九月に出すべきだったが
この秋は多忙すぎて
年末までこんな作業もできなかった
正月間近になって
死んだ友の転居届を出す
1月1日から有効だそうだが
まだまだ来る年賀状の仕分けに
間に合うだろうか
間に合わないだろうか
もう死んで四年になるのに
友にまつわる事務作業は
こんなふうにまだ続いている
他にも続いているものがある
ひとりの人は体は死んでも
層をなしていた網の目は
なかなか死に切らず
生者たちによって維持される
ひょっとしたら
永遠に死なないのかもしれない
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