東福寺からは
京都駅のほうに戻ってもいいし
祇園に出てもいいし
と思って
赤十字病院の前にバス停があると聞いていたから
そっちに向かったわけだけれど
途中の短い横断歩道を渡ろうとしたら
歩行者用の信号が
赤
だったので
止まらにゃあかんナと思った時
すかざず
向こう側から
「あぶない」
と声がかかったので
誰だろ?
と見てみると
短い白髪頭のおじいさんが
道路わきの溝に
“ちんちん”丸出しにして
こっちに向かって
おしっこを豪勢にしている
ズボンを膝まで下して
シャツはお腹までたくし上げて
しているので
お腹から膝ぐらいまで
あっぱれに丸見えなんだが
昔はこんなおっちゃん
日本のあちこちにいたもんだが
最近はさすがに
めずらしくなったなァと
ちょっとしみじみ
ながながと放尿中の
おじいさんの陰毛の生え際や
その中からにょっと出る
“ちんちん”というか
むしろ“ちんぼこ”だな
この場合は
“性器”なんていう冷たい言葉じゃ
とにかくないなァ
と思いながら
いやいやどうやら
おじいさんのそれは
性の方面の用途にはあまり
使われなくなっている雰囲気が
ソコハカとなく漂っているから
あえて冷たい言い方をするにしても
現況としては“泌尿器”だろうかなァ
どっちみち
“ちんぼこ”と呼ばせてもらうのが
よろしいかと思うね
なんて急場の結論しながら
一瞬ではあれ
それなりにしげしげ見ていると
陰毛の繁りぐあい
ことに生え際の趣なんかが
いかにも普通で
尋常なありきたりの感じで
こんな公道で丸出ししてても
おじいさん
あなたの普通ぶりが
いかにも穏やかで
盛り下がるぐらいに
穏当で平和なのである
と思いながら
歩行者用信号がちゃんと
赤になってから
無事渡ったわけであったが
考えてみれば
こちらに「あぶない」なんて
注意をしてくれた時点で
ごく普通の善良なる
市民であらせられたわけで
びゅんびゅん車の通る
大道で“ちんぼこ”を出していたくらいで
普通じゃないんじゃないのか
などと人のことを
思ったりしたら
大間違いの巻ってことに
なるわけなのである
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