2019年6月13日木曜日

うつくしい消え去りぶりなのです


  
この世のしくみがわかっていないと
なるほど
喜怒哀楽など
してしまいそう

この世のしくみといっても
どうすれば儲かるかとか
どうすればしあわせになるかとか
そういうしくみではなくて
この世というまぼろしが
どのようなまぼろしとしてできているか
ということ

なにをしてきても
してこなくても
なにを思いわずらったり
気づかったり
大事に思ってきても
ほら
死という位相替え
あれを境に
一瞬にすべて消滅してしまう

愛とか意識とか神とか
それらは残るなんて
嘘っぱちを言っているひともいますが
まっかな嘘です
なにひとつ残らずに
一瞬にすべて消滅してしまう
なにかをしてきたことと
してこなかったこととは
すっかり同じことになってしまいます

思いわずらった内容も
思いわずらいとともに
気づかった内容も
気づかいとともに
大事に思ってきた内容も
大事という思いとともに
一瞬にすべて消滅してしまう

ひとによっては
してきたと思っているその思いや
してこなかったと思っているその思いや
思いわずらってきたというその思いや
気づかってきたというその思いや
なにかが大事と思ってきたその思いが
死の敷居をまたいだ後でも
まだちょっと残るばあいもある

でも
大丈夫です
思いというものには
自浄作用というか
オートクリーニング機能があって
死の敷居をまたぐと
強力に稼働し始めますから
思いが後を引くといっても
せいぜい数時間ほどの残像です

どの思いも
おのおの
死の敷居をまたぐと
じぶんたちがまぼろしでしかなかった
はじめからじつはなぁんにもなかった
と自覚しますが
その自覚も思いですから
それも
すみやかに
きれいに
消え去っていきます

ほんとうに
なにひとつ残ることのない
うつくしい
消え去りぶりなのです




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