ひとはたゞ生きていればいい
あれをするか
これをするか
それともあれをせず
これをしないか
そんなことはほんとうにどうでもいい
それに
だれであるか
どのようであるか
そんなことも
ほんとうにどうでもいい
こう思っているので
どうも世の中とはおりあいが悪い感じだが
ここに来るまでには
たゞ生きているだけじゃいけない
そんなのは人生ではない
とかなんとか
そんな考えかたもずいぶん押しつけられたり
洗脳されたりしてきた時期があったのだ
ひとはたゞ生きていればいい
と
爪の先まで染みとおるように思うようになると
生きていればいい
とか
ひとであること
とか
そんなのもどうでもよくなってくる
生きていても
生きていなくてもいい
ひとであろうと
虫みたいであろうと
たまたまそのときそうあるようであればいい
そんなふうに思うようになってくる
人目を惹くのはいやだし
便利でもあるし
で
そこらのひととあまり変わらない風体をしているが
そんなこともどうでもよい
だいたい
そこらのひとのようであることほどおもしろい変装って
なかなか
ない
ひとはたゞ生きていればいい
生きていたあかしを残そうとすると
たちまち
生きていることは損なわれ出す
生きている実感を
なにかの表象を使って映し返そうとすると
生きていることは
もう
なにかのための材料になってしまって
生きていないことになってしまう
放っておくことが
ほんとうに
ひとは苦手だ
たゞ放っておけば
なんであれ
勝手に整っていってくれる
というのに
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