枠にとらわれない授業をする数学の先生のやり方を知ったが
なるほど
教科書も使わない
公式を教え込んだり
例題や演習問題で絞り上げるのでもない
パズルやクイズの連続のような時間のなかで学生たちみずからに
おのずと思考を繁茂させる
受けてみたかったような楽しい刺激的な授業
だけれども
ぼくだったらやっぱり
ムリかな
そんな授業でさえも
だって
そもそも教室にどうしてもぼくは行きたくない
きめられた時間に他のひとたちに合わせてどこかに出向くのがイヤ で
そういうのが苦しくて
行こうと努力すれば途中でほかのほうへと電車で向かってしまう
ぼくだから
とはいえ
学校に通わねばならなかった頃は
ちゃんときめられた時間に間に合うように着いて
席に着いて
一定時間黒板のほうを向いてぼくだけの生命の時間を浪費させた
ぼくはちゃんとした学生だったのだ!
とはいえ
けれども
だけれども
教室に居るのはぼくの体と表面的な反応システムだけで
こころも頭も居やしなかった!
どこに居ても居させられてもそこになんて居やしない術を習得でき たのは
学校や家庭や交友や社会のおかげ
だった
といえば
言える
学校よ家庭よ交友よ社会よ
ぼくはきみらのどこにも居やしなかったよ!
居たことなんてホントになかったよ!
どこに居ても居させられてもそこになんて居やしない術の達人
ぼくは!
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