平野さんのおじいさんも
最近
亡くなったそうである
まだ
四十九日も来ていない
おばあさんの家に行くと
遺骨が
骨壺に入って
安置されている
まだ
墓地に
埋葬していない
平野さんは
おじいさんの部屋から
だれか
ひとのいる音がするのを
聞いた
しかし
おばあさんの家には
その時
平野さんと
おばあさんしか
いない
歩いたり
なにかを置いたり
畳を擦ったり
という音が
おじいさんの部屋から
聞こえてくる
だれかいるの?
と
いちおう
おばあさんに聞くと
だれもいないよ
と
おばあさんは答える
だれか
いる音がするよね
と
平野さんは
言う
おじいさんが
帰ってきているんだよ
と
おばあさんは答える
ああ
そうなの
と
平野さんは
うなずく
おっとりした
ゆたかな
おばあさんと
平野さんと
そうして
おじいさんの
話
である
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