2023年11月19日日曜日

日本の味のマズシサ

 

 

 

内神田の鎌倉橋近くまで

包丁を研いでもらいに行ったが

そこから歩いて帰る途中

ちょうど昼過ぎともなったし

お腹も空いたので

なにか食べて帰ることにした

 

このあたりでなにか食べようとなると

神田駅のほうまで足を伸ばして

気楽に寿司などつまむことが多いのだが

たまには違うものを食べようと思い

簡素な台湾料理屋で

ルーロー飯というのをはじめて食べてみた

漢字では滷肉飯と書いたり

魯肉飯と書いたりするのらしい

 

これがけっこう美味かった

豚バラ肉の甘辛い醤油煮込みで

沖縄のラフテーを薄く切ったようにも見える

牛丼よりも味覚的に豪華で

煮込みに八角や五香粉など入ると

ちょっと味に奥行きも出る

 

台湾では庶民の料理だそうで

ごく普通の簡単な食事だというが

こりゃあ日本の普通の食事には

とても勝ち目はないと思わされた

日本にはなんでもあるようでも

肩肘はらない普通の食べものには

こんなふうに便利でうまいものはない

ラーメンだのカレーだの

天ぷらそばだのカツ丼だのは

どこか「普通」度が欠けているのだ

ルーロー飯のほうがはるかに「普通」で

それでいてはるかにうまい

こりゃあいいものを見つけちゃったな

と今後の楽しみが増えた

 

ちょっと調べてみると

ルーロー飯の味を調えるのには

醤油と砂糖を基本として

紹興酒やオイスターソースや

ショウガやニンニクや

八角や五香粉や油葱酥を使うという

ショウガやニンニクを除けば

どれも日本の料理に致命的に欠けているもので

特に八角や五香粉などの味は

あまりに日本の味に欠落している

 

これらの味こそ

好きなんだよなあと思いながら

日本の味のマズシサ

というものを

しみじみと

考え直してみたりする

 





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