2014年8月24日日曜日

闇になれ



  
ふいの事故のように
ふいにまじめなことを言ってしまえば
むずかしすぎる
じぶんを生きることなど
あまりに

どういうことをしている時が
じぶんか
どういうことを思っている時が
じぶんか

なにかしているなら
なにかをしているわけで
その時
じぶんをしているのではない

なにかを思っているなら
なにかを思っているわけで
その時
じぶんを思っているのではない

そもそも
している時や
思っている時は
することや
思うことが
じぶんを覆ってしまっている

じぶんを生きることの
なんという
ありえなさ

そのうえ
じぶん
じぶん
などというものの
じ・ぶ・ん
ことば
発音
あるいは
文字
それらが
じぶん
であるはずなど
ない
もちろん

仮面や仮装を使い続けて
こんなふうに
じぶん
じぶん
と呼ばねばならない
この世の
しくみとは
なに?

こんなふうな事情だから
わかっている人はわかっている
じぶん
など
どこにもないのを

闇のなか
とりあえず
手元だけ照らす
小さなはかない明かり
じぶんとは
その程度のもの
当座は
手元だけを照らすのに
もちろん便利だが
その程度のもの

ふっと
その小さな明かりを消してみれば
まったくの闇が
すぐによみがえる
その闇は
あたり隈なく領していて
どこまでも続いている
失う心配もないほど
広く大きく
世界などという
限界のあり過ぎることばでは
捉えきれないほどの全

だから
闇になれ
万物が言う
森羅万象が勧める
損なわれず
失われない
闇に

じぶんを闇とせよ
闇になれ




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