やさしすぎるから
…とじぶんをふりかえるのも
なんだか
傲岸にみえるけれども
大仰だけれども
…でも だから
わがままな人たちが群がって
よいように
わたしの時間と
気づかいとを
奪い取って行ったのでも
あったのだろう
あれほどの
たくさんたくさんの
たくさんの
どのつき合いも
どこかで
ぽつぽつと終焉していき
このごろは
ずいぶんと静かになってきた
わたしのまわり
まあ
すっかりさびしくなって…と
こういうさまを
思う人もいるだろうが
わたしは
ようやく息をつける感じ
あたまのなかに
こころのなかに
血管やリンパ管のなかに
血のなかに
体液のなかに
わさわさと
つぶつぶと
あわだって
人人人人
人たちがようやく
入り込んで来なくなって
ようやく
ようやく
身のまわりに残っている
あの本や
この本たちは
わがままな人たちの
かたわらにいて
ずたずたに
こま切れにされた時間のさなか
短く
あわただしく
開かれつづけたので
いまになって
まったくわたしだけのために
ゆっくり開かれるようになってみると
どこか
ページたちはとまどって
あゝ 開かれ慣れない
おとめたちのよう
理解してくれと
じぶんを見てくれと
温泉の大浴場を開けたときの
もわっもわっと来る蒸気のように
ぐんぐんと
わうわうと
おさおさと
わさわさと
押してくる人たちを
さっぱりと
相手しなくなってしまうようになったのは
いつから?
このごろはいっそう
はっきりと切るようになって
平然とわたしから
時間や気づかいをもぎとっていく
もぎとっていけると思い込んでいる
人たちには
返答もしなければ
目もあわせない
これほどになったのは
いつから?
冷風の吹き過ぎのように
ひえびえしい
人がたの
静かなたたずまいに
これほど
くっきりとなってしまったのは
いつから?
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