風景を
比喩や記憶で汚さずに見るのは
むずかしい
感情を塗さずに見るのは
むずかしい
ビルが細く
二本立っていて
夕焼けの空がむこうにある
裸になった
冬の
柿の木がある
買ったばかりの
ダイヤの指輪をつけた若い女が
ひとつも車のない
駐車場の入口に立って
待っている
雑な美意識の人間が作ったに違いない看板が
いくつも壁に付いている
それらについては
たぶん
描写する必要もなく
見つめる必要もない
外国に
もう
行く気もないな
…つぶやくように
しみじみ
思う
なにか
ちょっと食べたいような
そうでもないような
(…死を
(また
(思いながら…
遠くに見えている
東京タワーを
もっと
見つめてみる
巨大な酸漿を想像して
宙空に
浮かばせてみる
東京タワーの
わきに
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