その時計の位置を変えると
時間が変わることがわかった
時間の外に出ることができる
丸くしたり
正方形に近くしてみたり
時間のかたちを
変形できるようになった
ふだんは透明のままにしているが
森に散歩に出る時
時間をゆがんだ球体にして
真っ赤な色を付けたりしてみると
木立の中をひとりで行く時も
なんだか楽しさが増す
手が塞がって困ることもない
時間は宙のどこでも
浮いていてくれるから
しかし
こちらが歩いて行っても
時間は付いてきてくれない
浮かべた宙の一点に
ずっと留まり続けている
まだ使い方に
こちらが習熟していないだけの
ことかもしれないが
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