2024年12月5日木曜日

広すぎるほどの壮大なホール

 

 

 

意識は

広すぎるほどの壮大なホールで

記憶たちは鳴る

時には弱音で

微細に

それぞれ

くっきりと

輪郭を引きながら

しかし

得も言われぬ絡まりあいを

無限に続けながら

 

なにもかもが

じつは

このホールで鳴るための

音であった!

 

わたしと言い

自分と呼んできた

あれら

膜のような

不十分な窓のような

曖昧な表示板のようなものは

どれも

このホールへの

入り口で

吸音口でもあった

 

あれらの

わたしや自分は

じつは

わたしでも自分でもなく

このホールこそが

わたしであり自分であった!

 

記憶たちは鳴る

 

記憶たちさえ

わたしではなく

自分でもなかった!

 

広すぎて

四方八方の壁がどこで尽きるのか

ひかりさえ

果てまでは届かぬ

この壮大なホールであった!

 

 




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