2025年10月16日木曜日

浮かぶヴェルレーヌ

 


 

ひさしぶりに

雨は蕭蕭

 

ひさしぶりに

秋は蕭蕭

 

ちょっと

さびしい雨といえば

バルバラの「ナントに雨が降る」を思い出し

あの出だし

 

Il pleut sur Nantes
Donne-moi la main
Le ciel de Nantes
Rend mon cœur chagrin

雨が降ってるわね ナントに
手を貸してね わたしに
ナントの空
わたしのこころを悲しくさせる

唇に浮かぶけれど

https://www.youtube.com/watch?v=-3lUUnHas3Y

 

それは

それとして

やはり

浮かぶヴェルレーヌ

 

例のあれ

「巷に雨の降るごとく

わが心にもなみだ降る」*

という

あれ

 

堀口大學の名訳があったけれど

あらためて

読み直してみると

古びちゃったな

古びちゃったな

 

巷に雨の降るごとく
われの心に涙ふる。
かくも心ににじみ入る
この悲しみは何やらん?

やるせなき心のために
おお、雨の歌よ!
やさしき雨の響きは
地上にも屋上にも!
 
消えも入りなん心の奥に
ゆえなきに雨は涙す。
何事ぞ! 裏切りもなきにあらずや?
この喪そのゆえの知られず。
 
ゆえしれぬかなしみぞ
げにこよなくも堪えがたし。
恋もなく恨みもなきに
わが心かくもかなし。

 

いまどき

これだと

さすがに

古びちゃったな

古びちゃったな

 

自分用に

今夜の雨の蕭蕭ぶりに

あわせてひとり

試し訳

 

こころにはなみだ降っていて  

街には雨が降っていて

やるせなくって滅入ってて

こころすっかり濡れきって

 

雨音ばかりはやさしくて

地にも屋根にもやさしくて

こころはちょっとうるおって

雨は歌ってくれていて

 

わけもないのに泣けてきて

こころはくたびれ果てていて

裏切りだってあったよな

なんだか葬式気分です

 

おかしいほどに苦しくて

どうしてなんだかわからない

恋してもいず憎んでも

ないのにこんなに苦しくて


 

ちょっと

中也さんふうかも

 

あくまで

試訳

 

蕭蕭と

試訳

 

決定版は

専門家さんに

任せます

 

 

 




*Il pleure dans mon cœur…    

Paul Verlaine

 

Il pleure dans mon cœur            

Comme il pleut sur la ville ;      

Quelle est cette langueur       

Qui pénètre mon cœur ?        

 

Ô bruit doux de la pluie         

Par terre et sur les toits !       

Pour un cœur qui sennuie,      

Ô le chant de la pluie !          

 

Il pleure sans raison              

Dans ce cœur qui sécœure.     

Quoi ! nulle trahison ?…         

Ce deuil est sans raison.         

 

Cest bien la pire peine          

De ne savoir pourquoi            

Sans amour et sans haine        

Mon cœur a tant de peine ! 

    


 


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