2025年10月8日水曜日

所有していて崇拝していただけ

 

 

  

 

quanto piace al mondo è breve sogno.

PetrarcaCanzoniere

 

この世で好まれることはみな短い夢

ペトラルカ『歌集』

 

 

 

 

 

昔の知識人たちは

当然のように

古代ギリシア語など

すらすらと読んでいたのだろう

 

などと

うっかり思ってしまうのも

現代の病のひとつ

かも

しれない

 

ちょっとは

これを癒やす薬を

処方して

もらっておこうか

 

かの高名な詩人

ペトラルカは

自分では読めもしないのに

ギリシア語のホメロスを所有していて

崇拝していただけ

だった

ニーチェの同時代人で

友でもあった

ヤーコブ・ブルクハルトは

『イタリア・ルネサンスの文化』で

バラしてくれている

 

『イリアス』や『オデュッセイア』を

どうにかこうにか

ラテン語に訳したのは

『デカメロン』の作者ボッカッチョだったが

それも

カラブリア生れのギリシア人の手を借りての

ことだったらしい

 

とはいえ

この頃から

ギリシア語からの

古典の翻訳熱は

イタリア中で燃え上がり出し

教皇ニコラウス5世などは

修道士だった頃から

借金を重ねては

古写本を

買い集めたり

写させたりしたらしい

 







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