人生なんていらない

 

 

 

 

実際起こったことでも

記憶されるまでは何物でもない

アンディ・ウォーホル

 

 

 

 

色とかたちが

というより

色とかたちを見るのも好きなので

写真も

絵画も

その他の造形物も

よく見る

 

おのずと

ネット界やSNSも

よく見る

 

色とかたちを見るのも好きだが

大切なものとは

思っていない

 

何人も無に帰るのだ

色とかたちに執すれば馬鹿をみる

 

絢爛たる色彩を帯びた遺骨を

見たことがあるか？

 

世にも稀な造形美の

遺骨を拾ったことがあるか？

 

そういうわけで

執しはしないものの

もっとも物質性の少ない

言語や

思念や

意識だけを

いじくりの対象と決めて

世を凌いでいる

 

思念や意識は

場所を取らない

かつては

書籍や紙資料のかたちのゆえに

言語も場所塞ぎだったが

電子化によって

今では場所を取らなる方向にあり

未来はその点

ちょっとは平穏である

 

それにしても

なんと

写真や映像に溢れかえっている

SNS界や

ネット界であることか？

猫も杓子も

インスタ写真だ

写メだ

ついでに動画だ

などと

表象的ゴミの生産に忙しい

ネットのメモリー電源を

ある晴れた日

プチッと切ったり

初期化してしまえば

電子的映像や写真はぜんぶ蒸発するのだから

表象的ゴミ生産に勤しむ

猫や杓子は

まこと

ご苦労さんな時間浪費の日々

と思う

 

それにしても

なんでもかんでも写真や動画に撮って

それでなにか完了！

と思い込むのが人類の圧倒的多数派なのだから

それなら

はじめから

実物作りや実物発見を排除して

フェイクで写真や動画を拵えておけば済む話だ

 

なに？

経験ということをした上で

その証拠として

その結果としての写真や動画アップだ？

 

経験など

どうせ三歩歩けば忘れてしまうのが人類

覚えていたにせよ

あなたが死ねばそれであなたの経験は永久消滅

死ななくても

認知症になれば

うっすらとフェイドアウト

 

ということで

2025年時点での結論

 

人類には

ただの薄っぺらい写真だけで十分

ただのチョロい紋切り型の動画だけで十分

 

経験なんていらない

 

実体験なんていらない

 

人生なんていらない