2025年10月25日土曜日

不在者

 

  

若いうちは

年上の者がみな敵にみえる

 

古いもの

既成のもの

それにしがみついて

籠城しているものたちと

戦っている

という思いが

力となる

 

なにか

価値のある変化を

推進している気にも

なる

 

奇妙なもので

いつか

攻撃される側になっている

古いもの

既成のもの

それにしがみついて

籠城しているものとして

矛先を向けられている

 

人生

歳をとっていくのは

まこと

奇妙なもの

 

いつのまにか

用済みの代表格になっており

いつのまにか

人類の敵になっており

いつのまにか

かさぶたになっている

はやく剥がれ落ちていくのを

待たれている

 

しかし

それはわたしの体験ではない

 

古いもの

既成のもの

それにしがみついて

籠城しているものたちから

学ぼうとだけ

してきた

 

わたしは攻撃しなかったし

攻撃されかねない姿を

世の中に

晒してもいない

保持してもいない

 

若さや

歳の重ねに伴う

扱われ方の変化は

わたしには

なんの関わりもない

 

むかしも

今も

たぶん未来も

いわば隠密の者

 

透明人間の

まま

 

いなかったし

いないし

いないであろう

不在者







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