ちょっと眠かったので ゆうぐれ
ちょっと横になって
ちょっと寝た
ちょっと寝ているうちに
ちょっと気温が下がって
ちょっと寒くなった
ちょっとの
その寒さのなかを
ちょっと
死が通り過ぎていくのがわかった
ゆうぐれ
ちょっと横になって
ちょっと寝たりすると
ちょっと
死が通り過ぎていくようなことが
よくある
こんな死の通過は
むかしから
よく感じることがあった
横になると
死の通過には敏感になるのだ
横になっていたので
死は
上のほうを通過していって
それに触れられることはなかった
きっと
どこかで
横になっていなかったひとに
死はぶつかって
死なせてしまったかもしれない
死なせなかったかもしれない
ゆうぐれの死は
寒い
うすぐらい
さびしい
しずかな死
これに当たらないようにするには
ちょっと横になるのがいい
上のほうを通過させて
過ぎ越させるのがいい
そうしないと
当たられて
わけもわからず
ふいに死んでしまうことに
なりかねない
ゆうぐれの死は
寒い
うすぐらい
さびしい
しずかな死
当たられたひとは
だれにも知られずに
だれでもなくなって
だれにもわからないところへ
死に落ちていく
だれだったかも
すっかり
わからなくなって
すがたかたちも
こころも
思いも
ぜんぶ消え失せて
はじめから
なにもなかったかのように
寒く
うすぐらく
しずかに
ただ
からだだけ
残して
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