2025年10月22日水曜日

死が通り過ぎていく

 

 

 

ちょっと眠かったので ゆうぐれ

ちょっと横になって

ちょっと寝た

 

ちょっと寝ているうちに

ちょっと気温が下がって

ちょっと寒くなった

 

ちょっとの

その寒さのなかを

ちょっと

死が通り過ぎていくのがわかった

 

ゆうぐれ

ちょっと横になって

ちょっと寝たりすると

ちょっと

死が通り過ぎていくようなことが

よくある

 

こんな死の通過は

むかしから

よく感じることがあった

横になると

死の通過には敏感になるのだ

 

横になっていたので

死は

上のほうを通過していって

それに触れられることはなかった

 

きっと

どこかで

横になっていなかったひとに

死はぶつかって

死なせてしまったかもしれない

死なせなかったかもしれない

 

ゆうぐれの死は

寒い

うすぐらい

さびしい

しずかな死

 

これに当たらないようにするには

ちょっと横になるのがいい

上のほうを通過させて

過ぎ越させるのがいい

 

そうしないと

当たられて

わけもわからず

ふいに死んでしまうことに

なりかねない

 

ゆうぐれの死は

寒い

うすぐらい

さびしい

しずかな死

 

当たられたひとは

だれにも知られずに

だれでもなくなって

だれにもわからないところへ

死に落ちていく

 

だれだったかも

すっかり

わからなくなって

すがたかたちも

こころも

思いも

ぜんぶ消え失せて

はじめから

なにもなかったかのように

寒く

うすぐらく

しずかに


ただ

からだだけ

残して






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