手紙書き職人になればよかった
わたくしの書きものには読み手がおらず
そんなものだとわたくしは持ちこたえても
哀しいかなや 文字たちは
さめざめ さめざめと泣くのです
読まれないわたしたちを書いて……と
さめざめ さめざめと責めるのです
ああ 春が来たらことしは
あの文字もこの文字も連れて
やわらかな青空の浜辺まで行こうか
まだ泳ぐには冷たくても
裸足で水遊びして駆けまわれるだろう
あの文字もこの文字もはしゃいで
わたくしに書かれた不幸をひととき
忘れてくれるかもしれないじゃないか
[初出] NOUVEAU FRISSON (ヌーヴォー・フリッソン) numero 71 (1998年2月)
編集発行人 駿河昌樹
発行場所 東京都世田谷区代田1-1-5、ホース115ー205 〒155
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