2012年8月13日月曜日

夏の芯



近くの大きな団地では
もう夏祭りのやぐらも立って
ぼんぼりもいっぱい
灯も入って
だれもいない夜
きらきらと
静かにはなやか

祭りの日には
わあわあと人が出て
焼きそばに
たこ焼き
わたあめに
チョコバナナ
金魚すくい
射的
古めかしい曲で
盆おどりの輪はまわり
着なれない浴衣で
子どもたちはつくる
夏の夜の思い出

わあわあ賑わう
たった幾夜かの雰囲気が
子どもたちの心には
いつまでも残り
夏の芯となり
ああ、また
あの時のように
わあわあ賑わうかなと
どこのやぐらを見ても
心さわがせる

にっぽんの夏は
暑くて暑くて
でも
お祭りは
いいものだったよ
みんな
暑い暑いと言いながら
汗かいて
ソース味の濃いものを
買い食いして
おどりの輪に入ったり
外に出て休んだり
なんだか誰もがみな
とうに死んでしまったように
ふらふらお祭りの場を
あっち行ったり
こっちに来たり

…そんなふうに
思いながら
逝くんだろうな
にっぽん人を
やめていく時には
みんな
みんな



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