朝方まで起きていて
雨がしずかに降り出したのを確かめてから
たまの休み
寝床に入って
気にかかっているのになかなか読み進められない本を
しばらくは寝ころびながら読もうかと
枕もとの小さな明かりをつけてページを繰っているうちに
うとうとと意識は遠のき
それでもふっと起きては文字を追い
また意識が遠ざかりするうちに
本を閉じて明かりを消し
寝てしまうことにしたのだったが
休みだったので
疲れた体からたっぷり疲れが染み出てくるほどに
夕方までながく寝ていてよかったのだが
ときどき意識が戻るたび
あかるくなっているカーテンのむこうに
雨が降り続けているのを感じ
きょうはずっと雨降りか
ずっと雨降りなのかと思ってはまた眠りに落ちて
雨降りの休日のしずけさをじぶんの体の一部か
本体のように感じとりながら肉体のほうは放り出して
生活のこまごまについて采配するふだんのじぶんとは違うじぶんに
すっかり成りながらしずかに雨の戸外となっているじぶんで
こんな状態を寝ているといえるのか
むしろもっと本来的な状態に戻っているのではないのかと
思いが浮かぶのを感じながら同時にそんな思いはどこに浮かんでいるのか
やはり肉体の脳のなかに浮かぶしかなく
どこまでも肉体に縛りつけられた物理的な現象として
思いも感覚のすべても夢もイメージも浮かび続け
それを錯覚して肉体とはべつの領域に思いや感覚が在るかのように
思い込んでしまうだけのことなのかと
思いながらまたふっと目覚めて
寝ているあいだの夢のなかのことでしかなかった思弁なのだと
すぐにわかるものの
だとすれば肉体に縛られているという思いも
肉体に縛られている思いによって二重の束縛が起こっており
それは理屈の上では逆に自由になっているということではないのかと
思いだけはかってに進んで
その先をたどっていこうという気にはならず
また眠りに落ちてしまっていて
今度は思いが進んでいかない澄んだ水流のような眠りで
雨が降り続くなか
もう午後も遅くなってきているだろうに
まだ寝ているなぁ
今日はまだ寝ているんだ
よく寝ているなぁ
時間としてはそんなにながく寝ているわけではないけれども
よく寝ている感じの日だなぁと
眠り続けている
しずかに降り出した雨は
まだしずかに降り続けているようすで
もう午後も遅くなってきているだろうに
時間としてはそんなにながく寝ているわけではないけれども
眠り続けている
しずかに降り出した雨として
もう午後も遅くなってきているだろうに
しずかに眠り続けている
雨が眠り続けている
眠りが降り続けている
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