雪の少ないわたくしに雪の
まれに降る夕べには
あんなに遠いところから
近づいてくるものがあり続け
もう数十年もの前から
近づき続けやまないのに
人や物はなんと
おおく過ぎ去っていったか
嘆きではなく
ひとしきり繁き時の降雪の
ひとつひとつの降りようさながら
過ぎ去っていったあれらに
あれらのほうに
添い付いていこうとする
息と小さな音
―すなわち言葉を
いま
洩れ出るがまゝに
わたくしはする
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