2014年2月17日月曜日

棲みか



つよい風がふしぎに内には吹き込まない

四方遠くまで人の見えない原に立っているだけで
堅さともやわらかさとも言えそうな心身の醒めが漲る

…やはり時間の流れなどないではないか

いつも居るようでも此処に本当に居るのは稀で
たまさかにたとえば風のおかげで〈居る〉と
万物の動きの中でこんなにもわたくしたちは停止している

さあ行こうとなどもう思わず
すばらしいこと、それは

つよい風がふしぎに内には吹き込まない

ここ
四方遠くまで人の見えない原をこそ
しばらくは棲みかとする



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