つよい風がふしぎに内には吹き込まない
四方遠くまで人の見えない原に立っているだけで
堅さともやわらかさとも言えそうな心身の醒めが漲る
…やはり時間の流れなどないではないか
いつも居るようでも此処に本当に居るのは稀で
たまさかにたとえば風のおかげで〈居る〉と
万物の動きの中でこんなにもわたくしたちは停止している
さあ行こうとなどもう思わず
すばらしいこと、それは
つよい風がふしぎに内には吹き込まない
ここ
四方遠くまで人の見えない原をこそ
しばらくは棲みかとする
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