いただきます
と食前に言うのは
にっぽんの美徳
そう言われるのを聞いてきた
しかし
こんな話を
ある霊能者から聞いた
いただきます
と食前に言ってはいけない
絶対にやめてくださいと
いただきます
と言って食べる人たちの
からだに
こころに
たましいに
食物に含まれるすべて
食物が帯びているすべてが
染み込んでいく
それがよく見えるという
栄養も染み込むが
食材や料理に付与されたすべての
雰囲気
思い
添加物まで
染み込んでいく
肉ならば
殺される動物たちの感情
切り裂かれる痛み
じぶんを殺す者への報復の念
最期に見た工場内の風景
作業する人間たちの心のようすまでも
野菜ならば
土壌に撒かれた農薬
降ってきた汚染物質
さらには土にこびりついている
古くからの土地の記憶
加工食品なら
ベルトコンベアーに並ぶ
労働者たちのさまざまな思い
経営者への呪詛
彼らがきのう見たテレビ番組の波動
出勤時に経験した
押し合いへしあいの電車の雰囲気も
だから
いただきますと言うのは
もうやめてください
ぜんぶが自分に染み込むのを
許可してしまう
魔の言葉ですから
残念ですが
時代はすっかり変わってしまっています
食物が帯びているすべてを
ぜんぶ取り込んではいけないのです
口のところで
喉や食道で
さらには胃でも
ぜんぶを取り込まないように
微細なナイフや
こまかい毒の粒を除くようにしながら
むしろ
わたしはわたしによいものだけを摂る
害毒のあるもの
余計なものはすみやかに
わたしのからだの力で消滅させる
と思ってください
なるほど
とわたしは思ったが
しかし
この霊能者の言うことに従う必要もない
と考えた
なぜなら
こう聞く前に
わたしはとうの昔から
いただきます
というのを止めていたから
もう何十年も
言ったことはない
思ったこともない
儀礼的に
いただきます
と発語することもあるにはあるが
発語とこころを切り離してしか
言うことはない
(……
(わたしを導く多くのものがいて
(正確にわたしを動かし続けている
(心の動きも
(体調も
(ゆえしれずに襲ってくる疲労や怠惰さえ
(すべてが計算され尽している
(だから
(外部のものはなにも信じる必要がない
(情報を探す必要もない
(要るものはすべて自然に手元に現われ
(聞かされ
(読まされるから
(ソクラテスはむかし
(これをわがダイモンと呼んだ
(わたしは単に勘と呼び
(思いつきと呼び
(なんとなく…と呼ぶ
(これから激変の時が来るにあたり
(わたしの言葉がわずかに伝わる先の人びとには
(同じことをつよくお勧めする
(たゞ最初の勘にのみ従い
(疑いや思考には従わないように
(だれひとり独りで生きてはいない
(多くの見えない導き者によって取り巻かれており
(これからはいっそうのこと
(それらの導き手たちに素直に従うように
(どれほど驚くべきことや
(恐ろしいこと
(悲しいことが襲ってきても
(大宇宙の時空の壮大な罠のなかでは
(すべては過去にして未来
(すべては今
(したがって生きているじぶんはすでに死んでいる
(死をとうに経ているものを損ないうるものはないと
(究極の認識を思い出して乗り越えるように
(……
0 件のコメント:
コメントを投稿