だいたい主義でいくしかない

生まれた覚えはないが

肉体に窮屈に重ねあわされた思いはあり続けているから

これを世間では「生まれた」と言い慣わしているんだろう

そういう意味での「生まれた」して以来

世間には参加したことはない

したいと思ったこともないし

周囲に空気があって

ひろがりがあって

天空があって

他人がいなければ

それで万事快調だった

空気＋ひろがり＋天空＋いろいろを

世界とか

この世とか

いろいろ言うらしいから

ぼくも曖昧にそう呼んできたが

この世界とかこの世とかいうのは

まぁ

だいたいで存続していてくれればいい

きっちりやろうとすると

誰かだけにとって便利になるので

他の誰かには損になる

そういうのを避けるには

だいたい主義でいくしかない

じぶんが何処から来たかも

よく覚えていないし

じぶんが何処へ行くのかも

ぜんぜんわかっていない

そんなこの世界の束の間の滞在者たちが

がたがたシチメンドクサイことを言い過ぎたって

ちゃんちゃらおかしい

だいたい主義でいくしかない

空気＋ひろがり＋天空＋いろいろだけは

在ってくれないといけないのだけど

それを在らしめるためにも

だいたい主義でいくしかない