閉門時間が来るまでのあいだ

 

人生というのはテーマパークに過ぎない

だからそこでは

どの乗り物に乗るか

あれにもこれにも乗れるか

長く順番を待ってでもあれに乗るか

あまり行列の出来ていない乗り物で我慢するか

だけが問題となる

飲食物の持ち込みは禁止されているから

園内のレストランや屋台で買うしかないが

たいして美味くない限られた食べ物や飲み物のうちでも

どれとどれを選んでどんな組みあわせで食べるか

それによって多少は満足感を調整できるから

買う時点でけっこう迷ってしまう

これも問題といえば問題

いずれにせよ

テーマパークにいるあいだは

テーマパークに幽閉され続け

テーマパークの条件と限界と

テーマパークの遊び方とマナーを強要されるだけ

テーマパークの外の世界があるとは知りながら

ときどきはスマホで外の情報を見聞きしようとはするものの

電波があまり入らないように制限がかけられていて

乗り物に乗ったり行列したりするのに追われもするので

テーマパークを客観視できるような

外からの知見も不十分にしか得られない

閉門時間が来るまでのあいだ

どれだけの量の乗り物を楽しめるか

規格化され乗り方の決められた乗り物に皆と同じように乗って

楽しみの質をどれだけはかなく高められるか

そんな気の使いようへと囲い込まれ追いやられるだけ

閉門時間が来るまでのあいだ