友
というものがまったくいない歳月を
十年
は確実に過ごした
たったのひとりもいない
歳月を
多少とも
思いや気持ちのやりとりができる
知りあいも
まったくいない期間を
確実に
十年は過ごした
もっと
遡って考えれば
何十年も
そうだった
友
多少とも
思いや気持ちのやりとりができる
知りあい
そんな存在が
何人もいる
と
思い込んでいただけの
何十年
みんな
嘘だったのだ
と
十年前に
わかり尽くした
ひとびとは
飲み仲間でつるんで
政治や行政や世間の非難に
よく
精を出している
だが
つるむ飲み仲間に
友
などいない
と知り尽くしたあとでは
よほど
政府や行政や世間のほうが
やさしい
と
感じる
十年
それを
わたしは
生き延びた
よほど
安倍晋三や
菅義偉のほうが
やさしい
と
感じるわたし
を
十年が
つくった
(こうして
(国体をこそ
(わが誠
(と思うように
(なっていく
(ひとびともあるのか…
前例のない事態だったウイルス災禍に際しても
「こんな中で大丈夫?」
と
短信さえ送りあわない関係の
ひとびとが
たくさん
いた
どんなに粗末なものでも
マスクを送ってきてくれたり
わずかでも
給付金を送ってきてくれたりしたのは
政府
だけだった
誰を切り捨てるべきか
誰の言説や思想は無視すべきか
露わにし切った
災禍の時期だった
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