2022年5月6日金曜日

なんという恍惚!

 


 めったに行かないが

ひさしぶりに100円ショップに入ってみたら

BGMに浸された

 

若い歌手が

がちゃがちゃとうるさい演奏のなか

それでも

奇妙に弱々しい

感傷的な音をたびたび鳴らして

恋人だったか

理解しあっていたつもりだったか

たったひとりの誰かに語るかたちの歌を

歌い続けている

 

これが

何十年も前の

わたしがまだ若かった頃の

どこかの店で流れていたBGMと変わらないような

恋人だったか

理解しあっていたつもりだったか

たったひとりの誰かに語るかたちの歌そのもので

こういうポップス形式のなかに

若さの一定の型というのは

保存されていくのか

浸された

 

100円ショップの

なんという

恍惚!

なんという

永遠!

 

曲も歌も

店内の商品も

チープであればあるほど

わびしくあればあるほど

なんという

恍惚!

なんという

永遠!





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