ローマ人は砂漠をつくり、それを平和と呼んだ。
タキトゥス
シンプルながら
豊かな響きが奥深い
Per-Olov Kindgrenのクラシックギター演奏で
バッハのG線上のアリア(BachーAir on G String)
を聴いていたら
J. S. Bach: Air (Classical guitar) - Per-Olov Kindgren
https://www.youtube.com/watch?
音の精霊たちが来て
ギター演奏なら
Xuefei Yangもとてもいいだろう?
Per-Olov Kindgrenよりも
ちょっと速い弾き方をしているけれどね
Xuefei Yang - Bach - Air on G String
https://www.youtube.com/watch?
と勧めてくれた
ギター演奏を聴いていると
もっとオーソドックスな弾き方の演奏も
ひさしぶりに確認し直したくなる
オーケストラ演奏なら
小澤征爾が1995年にN響を振った時の
演奏がとても繊細でやさしく
味わいも複雑でとてもよかったと
精霊たちに勧めた
Seiji Ozawa/NHK Symphony Orchestra(1995.1.23)
https://www.youtube.com/watch?
たしかに
とびきりの演奏のひとつだ
と精霊たちは賛成してくれたが
コープマンがベルリンフィルを振った時のものを
忘れちゃいけないよ
とひとりの精霊が出して来たので
Bach: Air / Koopman · Berliner Philharmoniker
https://www.youtube.com/watch?
みんなで聴いてみると
小澤の演奏よりもくっきりと進ませて
たぶんこちらのほうがバッハの思いには近かったかな?
と思われた
小編成だったけれど
Ricardo Casero がOrquesta Reino de Aragónを振った時の
鮮明ながらやさしい演奏もよかったよ
と他の精霊が聴かせてくれた
Bach: Air on the G String (Orchestral Suite No. 3)
https://www.youtube.com/watch?
ぼくらは
宙に浮かびながら
いろいろな演奏を空に映じさせて
みんなで聴き続けていた
いつのまにか
もっと高いところに上っていってしまい
風に吹かれるわけでもなく
自然に
位置的にも
地球上を移動しはじめていた
やっぱり
ヴァイオリン演奏を忘れるわけにはいかないね
と
ひとりの精霊が
Anne Akiko Meyersの演奏を
聴かせてくれた
BACH AIR Anne Akiko Meyers & Wendy Chen
https://www.youtube.com/watch?
ぼくはAnne Akiko Meyersを聴いたことがなかったので
これは発見だ
と嬉しかったが
バッハのG線上のアリアなら
どうしたって
韓国の名バイオリニストKyung-Wha Chungの滋味あふれる演奏を
逸するわけにはいかない
Kyung-Wha Chung : J.S.Bach - Air on the G String
(arr. from Orchestral Suite)
https://www.youtube.com/watch?
聴かせると
たしかに
これはいちばんかもしれない
ヴァイオリンでこれ以上の演奏はなかなかないかもしれない
とみんな喜んだ
上空の
空気の流れもない高度を
見えない
感知もできないものの流れに押されて
だんだんと移動し続け
近ごろ
砲弾がたくさん落されたり
ミサイルが飛び交ったりしているあたりの上に
ぼくらは漂ってきていた
この下では
近ごろ
たいへんなことになっているよ
ぼくらのいる此処は
こんなに静かで澄んでいるのにね
と言うと
これからもっと
騒がしくなっていくよ
と
ある精霊が言った
たくさんの霊が出るけれど
ここまでは来れない
もうちょっと下に漂ったままになってしまう
でも
いま聴いているG線上のアリアは
砲弾がたくさん落されたり
ミサイルが飛び交ったりしているあたりまで
波となって降りていくんだよ
聴きとれる人たちには聴きとれる
地面や草木や物質には浸透していく
壊れた壁や瓦礫に
G線上のアリアの波は沁みていくんだよ
聴きとれる人たちには聴きとれる
聴きとれる人が多くなれば
乱れた意識の波から出る声や言葉よりも
人はG線上のアリアを聴くほうを選ぶようになる
ほかの精霊たちも
口々に
こんなことを言った
ちょっと変わったところで
Jacques Loussierのジャズ演奏もやっぱりいいものだよ
もうすっかり古典だ
とひとりの精霊が言い
ひさしぶりにLoussierを聴くことになった
Jacques Loussier - Air On A G String
https://www.youtube.com/watch?
ああ
これは名品だなあ
いい演奏とか呼ぶのでなく
名品といった言い方をすべきだね
とある精霊が感服して言った
Loussierのバッハなら
G線上のアリアだけでなく
この機会に
これも聴き直しておこう
とべつの精霊が
Prelude in C major BWV 846 from the 1st part of "The Well-Tempered Clavier"
Fugue in D major BWV 850 from the 1st part of "The Well-Tempered Clavier"
Brandenburg Concerto No. 5 in D major BWV 1050
"Jesu, Joy of Man's Desiring" from Cantata No. 147
などの演奏光景を空に映じて
天空はみごとなバッハのピアノ音響で満ちた
Jacques Loussier Solo Piano: Play Bach (1997)
https://www.youtube.com/watch?
ピアノ演奏となれば
バッハのG線上のアリアについては数えきれないほどだが
Igor Levitの
余計な思い入れを排していながら
クリアで味のある演奏がとても気に入っていたので
精霊たちに聴かせてみたら
これは大絶賛された
Igor Levit - Bach (arr. Siloti): Air from Suite for String Orchestra No. 3
https://www.youtube.com/watch?
もちろん
Friedrich Guldaの名演も
忘れられないけれどね
と
ひとりの精霊が
確認するように響かせた
ジャズピアニストでもあったGuldaだから
Loussierと同じ精神が
音に沁みているね
Friedrich Gulda: J. S. Bach - "Air" from Suite No. 3 in D major
for Orchestra No. 3, BWV 1068
https://www.youtube.com/watch?
現代の演奏なら
Beatrice Berrutのテンポも
いいんじゃないかな?
とべつの精霊が勧めてくれたので
みんなで聴いてみると
これもよかった
やはり演奏に時代というものはあるね
Beatrice Berrutにしても
Igor Levitにしても
現代だなあ
Friedrich Guldaとははっきり違うね
と
さっきGuldaを出してきた精霊が言った
Bach : Air on the G String (Piano)
https://www.youtube.com/watch?
ちょっと変わったところでは
ハーモニカ演奏も
なかなかバッハに合っているんだよ
と聴かせてくれた精霊がいた
J. S. Bach - Air on G string : G 선상의 아리아
https://www.youtube.com/watch?
ハーモニカ演奏も
いろいろな人がやっているけれど
Jong Seong Parkのこの演奏には
よけいな抑揚が付かなくて
いちばんすっきりと入ってくる
ハーモニカでここまでバッハをやれるんだと
発見させてくれた演奏だよ
と精霊は加えた
人声だけでコーラスで演奏するものにも
なかなかいいものが多いね
これなんかどうだい?
と
ある精霊は
Bel Canto Choir Vilniusを聴かせてくれた
Air on the G String (Suite No. 3 by J. S. Bach) – Bel Canto Choir Vilnius
https://www.youtube.com/watch?
俗に言えば
ダバダバダ…で歌うやり方だね
それなら
ウーという声だけで歌うThe Swinglesのパフォーマンスも
とてもいい感じだよ
と
他の精霊が出してきた
The Swingles - Air on a G String, J. S. Bach, arr. Ward Swingle
https://www.youtube.com/watch?
そうだね
人声で演奏するものには
もっとオーソドックスに
ソプラノ歌手が歌うようなかたちが
世界中でなされてきている
Olga Bolgariが歌い
Peter Illavskyがチェロを弾いている
こんな演奏のようにね
Air in G Major by J.S.Bach
Olga Bolgari, Soprano, Peter Illavsky, Cello
and the Philharmonic Choir of Kostroma
unter the baton of Alexej Melkov
perform the. Live and unedited performance 05.11.2016
at Philharmoni in Kostroma
https://www.youtube.com/watch?
いま聴いているG線上のアリアは
砲弾がたくさん落されたり
ミサイルが飛び交ったりしているあたりまで
波となって
かならず
降りていくんだよ
と
また
精霊が言った
聴きとれる人たちには聴きとれる
地面や草木や物質には
容易に
浸透していく
壊れた壁や瓦礫に
G線上のアリアの波は
すっと
沁みていくんだよ
聴きとれる人たちには聴きとれる
聴きとれる人が多くなれば
この波を聴くのを選ぶ人が多くなれば…
精霊は
そう言い続けた
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