いま心にかかっている
もっとも大切なことから取り崩しにかかることを
たぶん
詩
と呼ぶべきだろう
けれども
もっとも大切なことって
なかなか
言葉に引っかかってこない
まわりから禁じられているとか
世間的に言いづらいとか
そんなことではなくって
もっとも大切なこと探しをやろうとすると
箸の先からつるつる逃げていく
お汁のなかの麺みたいに
どうにもうまくつかめないし
そもそも見つからなかったりする
そういうわけだから
詩や詞を書こうとする人って
どうでもいいようなことを
ああだ
こうだと
書いてみるところから始まるのだろう
そうして
最後の最後まで
ああだ
こうだ
で済ましてしまうこともある
だから
たいていの詩や詞に頻出する
「愛」だの
「きみ」だの
「あなた」だの
「未来」だの
「あの時」だのは
どうでもいいようなことだ
ああだ
こうだ
のたぐいだ
そんな言葉が並んでいるうちは
真打ちは
まだ
登場していない
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