知り合いのカメラマン、慎ちゃんの実体験を思い出す
ベッドの上で新しいガールフレンドを抱き寄せようとしたら、
手が邪魔をしてきたそうな
彼女の両腕は、
しかし、慎ちゃんの首や肩に絡まっている
彼女の腰を薄明かりの中で見たら、
わかったよ、近づかないよ、
と心の中で言い、
「ごめん、ぼく、
と彼女には言って、
その後、
忙しさにかこつけて、なるべく会わないようにし、
「かなりな美人だったんだけどね」
と、
「でもねぇ…」
と返すと、
「そうだよねぇ…」
と慎ちゃんは笑った
その次に会ったのが今の奥さんになった人だから、
ガールフレンドの腰の後ろから伸びていた腕のおかげで、
と、言えないこともない
ひょっとしたら、
そう言おうと思ったが、
なんとなく言わないままに、
あれから、もう60年になる
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