2016年12月7日水曜日

ニッポンの今の街の枯葉



強い風の夜のあと
枯葉が
どこのうちの玄関前にも
道のわきにも
かさかさ
溜まっている

だいたいは
ケヤキ
黄色くなった
魚の骨みたいな感じで
そこに赤く
サクラの落葉が
ちょんちょん
混ざる
サルスベリもあるかな
ちょっと遠くの
イチョウの
あざやかなイエローの葉も

どれも
硬い感じの葉ではない

ちょっと思い出す
パリの晩秋の
枯葉
どこもかしこも
マロニエの
大柄な老人の手のような
カランとした枯葉で
墓地などには
むこうのほうまで
いっぱい落ちていて
積もっていて
風が吹けば
カラン
カラン
カラカラ
プラスチックで
できているかのような
音を立てて
転がりながら
鳴り続ける
ダンフェール・ロシュローなど
よく行った頃もあったが
あのあたりの舗道も
車道沿いも
カラン
カラン
カラカラ
風が吹くと
賑やかだったのだ
けっこう

あれだけ
強い風が吹き続けた夜じゅうも
枯葉の音は
あまり響いてこなかった
ニッポンの
今の
街の枯葉というもの
と思うのだ

強い風にあれだけ吹かれてさえ
あまり音のしない
ニッポンの
今の
街の枯葉



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