2016年12月4日日曜日

その小鳥


たとえば私が花という…
ステファヌ・マラルメ


わたしの胸のどこかに
その小鳥が住んでなどいないのだけは
よく知っている
その小鳥が見えないのも
知っているし
その小鳥
たゞの束の間の言葉
でしかないのも
知っている
この書きとめの二行目で
わたし自身が
その小鳥
と表記しただけなのも
知っているし
そうしなければ
その小鳥
など
誰の想念にも浮かばなかったのも
知っている
けれど
二行目で表記した以上
その小鳥
想念として
居ることになって
もう
誰にも消せず
無視もできないのも
知っている



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