2022年2月24日木曜日

絶対主義

 

 

プロシアへのフランス革命の影響については

カール・マンハイムが

ずいぶんキリッとまとめて書いている

社会科学的言説としては抽象の極みだろう

 

ぼくはこれを森博氏の訳で読んでいるが*

マンハイム自身の注に加えるかたちで

ときどき差し挟まれる訳者の注が

つねにこちらが持っている問題に新たな視界を開いてくれる点で

とてもよい注になっていて勉強になる

 

ゾンハルトなどを経由して養われた視点だろうが

「絶対主義」については

こんなことを書いてくれている

うれしくなるような滋養に富んだ注ではないか

 

 

絶対主義は

封建制自体のなかにその片足をおきながら

他方では前期商業資本に片足をおき

旧貴族制度に対立し

政治の形式を貴族の腹芸から解放して

これに商業簿記的な合理性を与え

合理的外交取引をおこなうことにより

自国の存立を計ることが主要目的のひとつであったから

自分自身の立場を強調し

その所管事項を一般化して

ただ封鎖的・静態的な体系をつくり保持するという

限定的な合理主義的傾向が支配的であった

しかし

このような合理主義も絶対主義の初期に見られるもので

後期に入るといちじるしく冒険的・投機的の色彩を強くするに至る

 

こう認識すれば

絶対主義が現代社会や現代国家とそのまま地続きなのがわかる

つまり絶対主義が一気に現代的問題となる

どの時代にあっても資本のありかたは「前期商業資本」的なのだし

どの時代にあっても「旧貴族制度」的なものがあるのだから

絶対主義の分析はほぼ永遠に役に立つだろう

 

 

 

*『保守主義的思考』(カール・マンハイム、森博訳、ちくま学芸文庫)







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