気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
玄関の白い壁に留まっていた
小さな蛾は
どこに
行ってしまったのだろうか
紀元前数百年のある日
ペルシア帝国の軍勢と戦っていた時
ちいさな椀で
泉の水を持ってきてくれた子の
なつかしい香りが
ふと鼻に蘇って
こんな蛾になって
訪れてきてくれたかと
気づいたというのに
もうすこし
留まっていてくれても
よかったのに
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