朝から
入道雲になりかけの夏の雲が
ゆたかに
空のあちこちに湧いている
それらを
見はらせる机から
いま
キーボードを打ちながら
文字を
記していっている
あれらの雲のなかに
また
あれらの雲とわたしの目のあいだに
全人生はあり
全人類史はある
おそらくは
全未来も
きょうも架空の海に入り
しばらく
潜水などしながら
浮かんできては
波に揺られ
真上の青空を眺めたりしよう
浜に戻ったら
あまりうまくはないが
ココナツの汁を
ちょっと多めに飲もう
そうして
昔ふうにペンで
厚手の紙にかりかり音を立てて
言葉も
しっかり選びながら
手紙を書き
パソコンの画面にむかって
日ごろの労を報いてやるために
ていねいに送り届けてやろう
腕と手と指に
郵便配達夫としての仕事を
特別に依頼して
そう
きょうは静谷ゆりえの死んだ日
そう
きのうは谷百合しずえの誕生日
そう
あしたはユニ・エリズシニタの出生予定日
暑い真昼も
ぼくは
モヒートなど飲まずに
二十種類ほどブレンドした熱い茶を飲もう
そうして
夢を見るのだ
ぼく
などとは自称せず
IとかIOとか
おいらとか
あたいとか
吾輩とか
一文ごとに一人称単数形を変える
夢を
単数形も超えて
タンス形で
しゃべったりさえする
夢を
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