天気はよいのだが
浜にずっと寝転がっていると
そう強くないようでも
風はからだからも心からもいろいろな殻を剥がしていくようで
どこか奥のほうがひりひりしてくる
すうすうと
うすら寒い感じにもなってくる
そうして
大げさでなしに
街での暮らしの来し方など
どこかの誰かの遠いフィクションのように思えてくる
ぼくは街で稼いだ金を使って
海ぞいにさまよいに来て
この浜にずっと寝転がっているのだが
街も金もみんな嘘っぱちに思える
じぶんがこうして見つかるなどとは思わないが
じぶんがこうして好ましく失われていく
とは
思える
まだ日は暮れないが
いっそのこと
今日は暗くなるまで寝転がっていよう
時間をもっと無駄にするのだ
時間をさんざん無駄にし
人生をすっかり無にし切った人たちとしか
今後は
気持ちを通じさせないで
すませていける
ように
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