2019年10月6日日曜日

わたしの未来!




どんよりと曇って
うつくしい朝

また
旅に出ることになるのだろう

どこへでもいい
どこへ行くか
など
大事ではないのだから

と小さなメモ帳に記して
すぐ近くの
メルヌ通りのカフェ「ロンド」に行き
ダブルのコーヒーと
主人がさっき買ってきたばかりのクロワッサンを頼んで
窓際の
ちょっと寒い席に腰を下ろした

ぼんやりと
外を見ていると
まだ会ったこともないはずのジョーンが
むこうの歩道に立ち止まって
こちらに手を振っている

(おい、ジョーン
(きみとはまだ出会っていないんだから
(知りあいであるかのように
(こちらに手を振ったりしちゃ駄目じゃないか

こころのなかでそう言い
こちらからは手を振らずに
ジョーンが立ち去っていくのを
見ていた

さようなら!
わが未来のいとしいひと!
そして
あらかじめ
おはよう!
まだかたちを取らない
わたしの未来よ!

物質界の法則にしたがい
複雑に織りなされた運命の糸のかたまり
それが
すこしずつほどけゆくのに
ただ
任せておこう

さようなら!
そして
あらかじめ
おはよう!
わたしの未来!




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