詩なんて
書こうと思ったことはなかった
じっさい書いたこともない
文とはちがったかたちで字を並べるのは楽しいので
そうしてみただけ
今夜は
こんなことを言いたい
記したい
字を並べるのにも
どんなにサッと切り上げるにしても
時間がかかるし
疲れたからだだって
とりあえず起こしておかないといけない
それほどまでして
文字並べをする必要はないな
と
いつも思っている
詩なんて
書こうと思ったこともなく
じっさい書いたこともない人間は
こんなふうに
思うのだ
こんなふうに思いながら
字を並べている
今夜は
こんなことを言いたい
記したい
今夜はずいぶん空気が澄んで
東京タワーも
ビル群のあかりも
手に取れるように鮮やかだ
ぼくはそれらをそんなに大事に思ってはいない
けれども
それはそれなりに
目を惹くものではある
こんなことを記すのを
ちょっと休止して
わざわざヴェランダに出て手すりに寄りかかって
しばらく眺めていたい気になるほどの
ものではある
そんなに
大事に思ってはいなくても
ほら
今夜はあんなにあざやかに見える
あんなに赤く見える
あれらのビル群のあかりも
ちかちかと
くっきりと
ずいぶんきれいに見える
こう語りかけたい人たちが
もう
この世にはほとんど残っていないのを
そう痛切には感じずに
ぼくは再確認する
今夜
こんなことを記しても
もう
見せるべき人たちがほとんどいないのと同じようだ
と思いながら
ぼくは
タワーのあかりや
ビル群のあかりを見にヴェランダに出る
必要でもないのに
なんども
なんども
ヴェランダに出る
いっしょにあれらを眺めたい人たちも
あれらのあかるさを伝えたい人たちも
もう
この世にはほとんど残っていないのを
そう痛切には感じずに
再確認しながら
なんども
なんども
ヴェランダに出る
0 件のコメント:
コメントを投稿