2019年10月15日火曜日

霧雨のなか傘も開かずに

 


霧雨が降っているが
しばらく
傘も開かずに歩いていく

こんなふうに
霧雨のなか
傘も開かずに歩くことの多かったある時期を
なつかしく
しかし
今のことのように
ありありと生きながら

歳を重ねていくのは
なにひとつ
遠くなってはいかないと
痛切に
心身を以て知るということ

みんな
いなくなってしまったか
歳をとって
もう
連絡もとれなくなってしまったのに

おなじように霧雨は降り
あの頃のままに
だれもが
かたわらにおり
前におり
背後に
おなじ笑顔して
居続けているのを
知る
ということ





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