入谷のあさがお市に行ってみると
車道は通行止めにしているし
あさがおを売っている屋台だけでなく
お祭りの時のように
いろいろな屋台がずらっと並んでいて
ひともずいぶんと集まって賑やかで
道路にお尻をつけて座ってものを食べたり
股を押っ広げて座って飲んだりしているひとも多く
なんだか一昔もふた昔も古い東京のようだと
ずいぶん驚いてしまった
そんな雰囲気のなかをしばらく
あっちへ行ったりこっちに戻ってきたりして
よさそうなあさがおの鉢を探しながら
歩き続けてみるのも
なんだかのんびりした東京の夏であった
母方の曾祖母は下谷の生まれで
江戸時代から続く大きな筆屋「池田屋」の娘だったが
もうその店は残っていないし
その店にまつわる伝説や言い伝えも残っていない
それでもこんな空気のなかで娘時代を生きたのかと
思いながら土地の波動をちょっとは感じようとしてみた
昔は大きな竹やぶがあったそうで
そこの竹を使って筆の軸を作ったそうな
曾祖母の母親などは上野の戦争の音を聞いていて
あのアームストロング砲の音もたぶん聞いているはず
珍しいあさがおの團十郎という品種を見たかったが
品数が少ないそうでどこの店でも見られなかった
明日入荷という貼り紙はいくつか見たが
まあふつうのあさがおの元気そうなのを買えばいいやと
四色混じりで植えてあるのを一鉢買って
入谷口から上野駅に入って帰ってきた
いくら曾祖母の生まれ故郷であっても
わたしにはほとんど未知の下町空間体験である
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