ああ、セブンイレブンの夏の配送トラックの夜風よ。

 

飯田橋四丁目のファッションカレッジ桜丘わきの通りを下っていく時、セブンイレブンの配送トラックが富士見のほうから下りてきて、目白通りへと走り抜けて行った。

トラックはゆっくり走っていったのだが、それでも少し風が巻き起こり、夏の夜の暑い空気の中で心地よく体に届いた。

 

ああ、セブンイレブンの夏の配送トラックの夜風よ。

 

目白通りから一本南西に入った道には居酒屋やカフェが幾つか並び、暑い夜だというのに、酔客たちや学生たちが賑やかに話ながら、ゆらゆら歩いている。

 

ああ、セブンイレブンの夏の配送トラックの夜風よ。

 

つっかけて履いているサンダルは、二十五分以上長く歩くと、必ず足の皮膚が擦れて痛い思いをするのだが、この夜はまだ大丈夫だと感じられ、家までのもう少しの夏夜を、どこの居酒屋にも寄ったりはせず、しかし家で封を開けてある、悪くない酒を少しは楽しみにしながら、配送トラックから吹き送られた風に少し気持ちを軽くさせて、うらうらと歩いて行く。

 

ああ、セブンイレブンの夏の配送トラックの夜風よ。