死ぬために命は生るる大洋の古代微笑のごときさざなみ
春日井健
生きているのは戦場
そう言うと
眉をしかめる人や
不穏な比喩だと怒る人もいるが
そういう人たちでも
髪や爪を切って過多の細胞を平気で捨てるだろう
夏に大輪を咲かせるために間引きをするだろう
昨日は豚ロースをうまそうに炙らなかったか
江ノ島で生しらす丼を喜ばなかったか
生きているのは戦場だから
戦傷もするし
戦死もする
それだけのこと
そういうことでいいではないか
もっと生きられたのにとか
おだやかに暮らせればよかったのにとか
甲斐がない
戦場で言っても
ああいう奴もいたなあ
やっぱり
死んだけどね
それでいいではないか
はじめから
死ぬためにきたのではないか
0 件のコメント:
コメントを投稿